群馬県の山奥にある民家の改修.市街地から引っ越してきた若い夫婦のための住宅である.この地域での暮らしは期間限定のため、リーズナブルに楽しく暮らしたいということから築60年程の木造2階建をリノベーションすることを選ばれた.
この家が建つ敷地は、山奥で住宅が密集する集落にあり、隣棟間隔が短く鬱蒼とした緑に囲まれていた.建具で小部屋に仕切られたこの家は昼でも薄暗かった.
まずは薄暗い空間を心地よく過ごせる”明るい場所”に変える事を目指して設計はスタートした.自然光を最大限活用するために建具を外し、2階の床を解体し吹き抜け空間をつくった.既存の窓からはハイサイドライトのように光が降り注いでくれた.外した建具はLidarを用いて3Dscanした.
小さな家でも様々なプロポーションの建具が使われてる事がわかった.
今回の改修では建具としての機能では無く、プロポーションに着目して再利用することを試みた.プロポーションを生かすために仕上げを剥ぎ取り、木下地のフレームの状態にした.
このまま並べる事も考えたが、予算的にほとんど仕上げが出来ないインテリアであったため、さすがに野蛮すぎるように感じた.
そこで薄暗さをつくっていた鬱蒼な緑に対し、さわやかなパステルグリーンを塗ってみた.
パステルグリーンにした事で爽やかな風が部屋の中を流れたような気がした.
吹き抜け沿いには新たに2層分の壁を設け、開口部に合わせて穴を空けてみた.生まれた穴を建具でふさいだ事で新たな部屋が生まれた.
吹き抜けや階段にも建具をランダムにレイヤー化し並べることで落下防止と手摺を兼ねた緑のオブジェがうまれた.
所在地 | 群馬県草津町 |
設計 | 太田雄太郎 |
施工管理 | 山屋 山中亮 |
主要用途 | 住宅 |
竣工年 | 2022年 |
写真撮影 | 植村崇史 |